行く手に、なにやら怪しげな気配を感じて、立ち止まる。 それはギョロギョロとこちらの行動を伺っている、 巨大な樹木だった。 今にも語り出しそうなその姿。 「おい、おまえ。どこへ行く」 「は、はい。あの、もう少し先の鳥上の滝までです」 「そうか。あそこは特別な場所だ、よく心得ておけ」 「分かりました。と、ところで、 通して頂いてもよろしいでしょうか?」 「よし、行っていい」 「ありがとうございます・・・」